はじめに
建築積算は、建物を完成させるために必要な工事費を算出する重要な業務です。単に数量を拾い出すだけでなく、設計内容や施工方法、使用材料、工期などを総合的に判断する専門性が求められます。そのため、建築積算は建築分野だけで完結するものではなく、土木、電気設備、機械設備といった各分野との深い関わりを持っています。
建築積算は主に建物本体を対象としますが、土木積算は造成や外構、基礎工事など、電気設備積算は照明や受変電設備、機械設備積算は給排水・空調・衛生設備などを扱います。それぞれ積算対象や基準は異なるものの、建設コストを正確に把握するという目的は共通です。本記事では、建築積算を軸に、関連する資格を分野別に整理して解説します。
建築積算の資格
建築積算に直接関わる資格は、専門性を証明する重要な指標となります。特に民間資格ではありますが、積算業務に必要な知識体系を網羅的に学べる点が評価され、実務に直結しやすいのが特徴です。積算担当者としてキャリアを築くうえで、これらの資格は大きな武器となります。
- 建築積算士
- 建築コスト管理士
建築積算士
建築積算士は、建築積算分野における代表的な民間資格です。建築工事における数量積算、内訳書作成、見積書の読み解きなど、積算業務の基礎知識を一通り身につけていることを証明できます。
試験範囲は、建築一般知識、積算基準、数量算出方法、材料・労務費の考え方など幅広く、これから積算業務に携わる人にとっては体系的な学習指標になります。設計図書を正しく読み取り、工事費として数値化する力が求められるため、設計者や施工管理者との共通言語を持つことにもつながります。
ゼネコン、設計事務所、積算事務所などで評価されやすく、未経験から積算業務に挑戦する際の入口資格としてもおすすめです。
価格:7320円 |
建築コスト管理士
建築コスト管理士は、建築積算士の上位に位置づけられる資格で、単なる積算能力だけでなく、建築コスト全体を管理・調整する力が求められます。企画段階から設計、施工、維持管理まで、ライフサイクルコストを意識した視点が特徴です。
建築コスト管理士では、VE(バリューエンジニアリング)やコストプランニングの考え方も重要視され、発注者側の立場でコストコントロールを行う場面でも活躍できます。積算実務経験を積んだ後、さらなるステップアップを目指す人に適した資格です。
積算担当者としての専門性を高めたい人や、将来的にコストマネジメント分野へ進みたい人にとって、取得価値の高い資格といえるでしょう。
【中古】建築コスト管理士ガイドブック 第2版/日本建築積算協会/日本建築積算協会(大型本) 価格:7554円 |
設計の資格
設計資格は本来、設計業務を行うためのものですが、建築積算とも密接に関係しています。設計内容を正確に理解できることは、精度の高い積算を行ううえで大きな強みとなります。
- 建築士
- 構造設計一級建築士・設備設計一級建築士
建築士
建築士は建築業界において非常に重要な国家資格です。特に一級建築士は、規模や用途に制限なく設計・監理ができるため、業界内での評価が高い資格です。二級建築士は主に中小規模の建築物を対象とし、扱える範囲に違いがあります。
積算との関わりとしては、設計意図や仕様を深く理解できる点が大きなメリットです。図面の背景を理解したうえで積算を行うことで、数量の拾い漏れや仕様誤解を防ぐことができます。また、設計変更時のコスト影響を即座に判断できるため、設計積算や概算見積にも強くなります。
積算専業でなくとも、建築士資格を持つことで、積算業務の説得力や信頼性が高まります。
構造設計一級建築士・設備設計一級建築士
構造設計一級建築士、設備設計一級建築士は、取得難易度が非常に高く、専門分野の頂点ともいえる資格です。構造や設備の高度な知識を持つことで、専門工事の積算精度を大きく向上させることができます。
建設業界で長く働くのであれば、最終的に取得できれば非常に評価の高い資格であり、積算・設計・技術提案すべてにおいて大きな強みとなります。
施工の資格
施工系資格は、実際の工事内容や工程を理解する力が身につくため、積算との親和性が高い分野です。特に現場経験に基づいた積算は、実務で高く評価されます。
- 建築施工管理技士
- 電気施工管理技士・管工事施工管理技士
- 土木施工管理技士
建築施工管理技士
建築施工管理技士は、施工分野で最も重要な資格の一つです。一級建築施工管理技士は大規模工事に携われるため、特に評価が高くなります。
施工管理技士は、工程、品質、安全、原価を管理する立場にあるため、積算との関わりは建築士以上に強いといえます。実際の施工手順や手間を理解していることで、現実的で精度の高い積算が可能になります。
積算担当者が施工管理技士資格を持つことで、机上の数字ではなく、現場を意識したコスト算出ができる点が大きな強みです。
電気施工管理技士・管工事施工管理技士
電気施工管理技士や管工事施工管理技士は、電気設備や空調・給排水などの設備工事に関わる重要な資格です。設備積算を行う場合、これらの資格があることで、仕様や施工方法を正しく理解した積算が可能になります。
建築積算と設備積算を兼任する場合にも非常に有効な資格です。
土木施工管理技士
土木施工管理技士は、造成工事や外構工事、インフラ工事など土木分野で重要な資格です。建築工事でも土木工事は切り離せないため、土木積算を行う場合には大きな強みとなります。
建築と土木の両方を理解できる積算担当者は、総合建設業で特に重宝されます。
まとめ
建築積算に関わる資格は、積算専門資格だけでなく、設計資格や施工資格まで幅広く存在します。建築積算士や建築コスト管理士は、積算業務の専門性を直接証明できる資格であり、積算担当者としての基盤を築くうえで重要です。一方で、建築士や施工管理技士といった資格は、設計意図や施工実態を理解できる点で、積算精度を大きく高めてくれます。
どの資格が最適かは、目指すキャリアや業務内容によって異なりますが、複数分野の資格を組み合わせることで、積算担当者としての市場価値は確実に向上します。これから建築積算に関わる人は、自身の立場や将来像を考えながら、計画的に資格取得を目指すことが重要です。
資格取得にお勧め
建設業界の資格は、ある程度高度な知識をもとめられます。
専門性が高いため独学ではハードルが高いことが多いです。
資格取得は下記SATがオススメです。
建設業界の専門性に特化しているので、関連資格全般におすすめです。
